酸素供給と酸欠 ホテイアオイが金魚に与える影響と効果

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ホテイアオイと金魚

ホテイアオイと金魚の相性は非常に良く、水中への酸素供給、金魚の卵の産卵床、稚魚の隠れ家、金魚のエサなど様々なメリットがありますが、そんなホテイアオイが酸欠を起こす原因となることも。

酸素供給をするはずのホテイアオイが酸欠を起こす?

「そんなバカな!」と思いますが、育て方によっては実際に起こり得る問題なのです。

何故ホテイアオイが酸欠を起こすのか?大切な金魚を死なせてしまわない為にも、その原因と対策を理解しておきましょう。

金魚に酸素を供給するホテイアオイ

ホテイアオイに限らず、多くの水草(植物)は光合成によって二酸化炭素を消費して酸素を作り出しています。

屋外のビオトープなどで育成されることの多いホテイアオイは通常なら太陽の光をたっぷりと浴びて盛んに光合成を行い、水中の金魚や微生物などに酸素を供給しています。

しかし、そんなホテイアオイが酸欠を起こすのは何故でしょう。

そのメカニズムと起こり得る状況についてみていきましょう。

金魚を酸欠にするホテイアオイ

酸欠とは読んで字のごとく酸素が欠乏することですが、そのような状況は供給される酸素より消費される酸素の方が多くなった場合に起こります。

酸素を供給するのはホテイアオイ、酸素を消費するのは金魚となり、金魚が多過ぎると酸欠になるかのように思われることもありますが、実はそんなに単純な仕組みでも無いのです。

確かに水量に対して極端に過剰な金魚を飼育すれば、酸欠を起こすこともありますが、今回の問題は別にあり、ホテイアオイの数が関係しています。

「ホテイアオイの数が少な過ぎ?」そうではなく、多過ぎなのです。

酸素を供給するはずのホテイアオイが多過ぎると酸欠を起こす。そのメカニズムは次の通りです。

ホテイアオイに限らず、植物は光合成により酸素を作りながら、成長のために微量の酸素を消費しています。

太陽の光が当たる日中は光合成活動が活発になるため、酸素は増える一方ですが、光合成活動が止まる夜間は酸素の消費のみとなるのです。

そのため、ホテイアオイが増えるとそれだけ夜間の酸素消費量も増るので、水中の酸素は減り続けます。

しかし、増え過ぎたホテイアオイの呼吸だけが原因で金魚が酸欠で死んでしまうほど水中の酸素が欠乏するようなことはほとんどありえません。

さらに他の問題が重なり合ったときに金魚の酸欠が起こるのですが、その問題とはホテイアオイが増えすぎて、水面を覆い尽くしてしまうことによって起こります。

ホテイアオイが水面を覆い尽くすと

ホテイアオイが水面を覆い尽くすと、水面には雨風が当たらなくなり、水面から水中に酸素が溶け込みにくくなります。

通常のビオトープなどは吹き付ける風や打ち付ける雨によって水面が揺らされ、空気中の酸素が水中に溶け込んでいきますが、そのような自然の仕組みがホテイアオイによって遮られてしまうのです。

さらにはホテイアオイが太陽の光を遮ることにより水中の植物プランクトンや藻類、水草なども光合成を行えなくなります。

ビオトープでは水中の植物プランクトンや藻類、水草などにより、酸素供給や水質浄化が行われており、適度な数のホテイアオイはその働きを助ける働きがありますが、増え過ぎたホテイアオイはその働きを阻害することになってしまうのです。

何事もバランスが大切という代表的な例とも言えるでしょう。

日中の酸素供給が少ないうえに夜間には沢山のホテイアオイが、呼吸により酸素を消費するようになるといつしか消費量が供給量を上回ってしまう時が来ます。

そうならないためにもしっかりとした管理を行い、正しい育て方でホテイアオイを育てるようにしましょう。

金魚飼育におけるホテイアオイの育て方

ホテイアオイが水面を埋め尽くすほど増えるということは、ホテイアオイを育てる環境自体は間違っていません。

ただ、元気に育ち過ぎてしまうようなら多少間引くか、生長を抑える方法をとるしかないでしょう。

生長を抑えるには根を切る

ホテイアオイの生長を抑える方法はいくつかありますが、遮光するなどの方法は他の生物や植物に悪影響を与えてしまうこともありますので、あまりお勧め出来ません。

生長を抑えるには環境を悪化させるのではなく、生長の勢いを抑える方法をとるようにしましょう。

その方法は葉の数を減らすか、根を短く切ってしまうことです。

ホテイアオイの根は伸びれば伸びるほど水中からの栄養の吸収が良くなります。

環境が良く、栄養の吸収が良ければそれだけ子株を増やしやすく、もの凄い勢いで増え続けてしまいますので定期的なトリミングが必要となってきます。

金魚の酸欠を防ぐ方法

ホテイアオイの管理をしっかり行いながらも金魚の酸欠を防ぐ方法を取り入れておくとさらに酸欠の予防にもなります。

その方法とは、エアレーションによる酸素供給や大きな容器に変え、水量を増やしておくことによる水温上昇の軽減などがあります。

特に気温が上がる夏場は水中の溶存酸素量が減るうえに生物の活性があがるので、水中の酸素は不足しがちとなりますので注意が必要です。

もし今現在、屋外で小さな容器を使い金魚を飼育しているのでしたら、この機会に大きな睡蓮鉢やトロ舟などでビオトープを始めてみてはいかがでしょうか。

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