金魚の塩浴に最適な塩の種類とは?
金魚の塩浴におすすめの塩は?
金魚の塩浴(塩水浴)の計算方法とは?
金魚の塩浴の濃度を間違えるとどうなる?
こんな金魚の塩浴(塩水浴)の塩に関する疑問についてご紹介いたします。
目次
金魚の塩浴に最適な塩の種類とは?
金魚の塩浴を行う時には、塩水の濃度はもちろんですが、塩の種類にも気をつけなければなりません。
そんな金魚の塩浴に最適な塩とは
- 細かい粒状のもの
- 精製塩ではない
- ヨウ素が入っていない
などの条件を満たしている塩です。
細かい粒状のもの
塩浴を行う際には、塩が溶けやすく、濃度のムラができにくい細かい粒状の塩を選ぶようにしましょう。
精製塩ではない塩
塩水浴に使用する塩は精製された食卓塩よりもミネラルなどを含む岩塩や粗塩などがお勧めです。
ミネラル分を豊富に含んだ塩は塩の浸透圧による金魚の体調回復に加えてミネラル分の吸収により金魚を元気にするとされています。
逆に精製塩はミネラル分が少なく、金魚の体液バランスに悪影響を与える可能性があるとも言われています。
精製塩は自然から採取された後、不純物を取り除くためにさまざまな化学的および物理的処理を経ています。
この精製工程により、塩からほとんどのミネラルが取り除かれ、ほぼ純粋な塩化ナトリウムのみとなっています。
ヨウ素が入っていない塩
精製塩にヨウ素が含まれている理由は、甲状腺ホルモンの合成に必須であるヨウ素を手軽に摂取できるようにするためです。
甲状腺ホルモンは体の成長や代謝を調節するために重要なもので、ヨウ素欠乏症を防ぐためには、日々の食事を通じて適切な量のヨウ素を摂取することが必要となってきます。
そのため、日本ではヨウ素欠乏症の予防として1924年から食塩にヨウ素を添加する取り組みが行われています。
この取り組みにより、塩を通常の食事に使用することで、人々がヨウ素を容易に摂取できるようになりました。
しかし、このヨウ素が金魚にとってはよくないものなのです。
ヨウ素が多く含まれている食卓塩などを使用して塩浴をおこなってしまうと、淡水魚である金魚は、海水魚に比べてヨウ素に対する耐性が低いため、ヨウ素の過剰摂取による健康被害のリスクが高まってしまいます。
もちろん金魚にとってもヨウ素は必要な栄養素ですが、金魚にとってのヨウ素の適切な濃度は、一般的に0.01~0.05mg/L程度が目安とされています。
ヨウ素は金魚の餌などにも微量に含まれているため、飼育環境や餌を通じてこの濃度を超えないように管理することが、金魚の健康維持には欠かせません。
ヨウ素の過剰摂取は金魚に脱水症状や鰓の損傷、腎臓の機能障害などを引き起こす可能性があります。
病気などで調子を崩している金魚の治療のために塩水浴を行うはずが、ヨウ素の過剰摂取によって金魚にダメージを与えてしまっては本末転倒とも言えますので、金魚の塩水浴に使用する塩はしっかり選ぶ必要があります。
金魚の塩浴におすすめの塩は?
金魚の塩浴におすすめの塩には
- 粗塩
- 岩塩
- アクアリウム用塩浴剤
などが挙げられます。
粗塩は加工を最小限に抑えた天然の塩で、金魚の塩浴に使用することができます。
粗塩は海水から採取された後、ほとんど加工されずに乾燥させられますので、この過程で塩の結晶が形成され、必要なミネラルが保持されます。
岩塩は地下の塩の堆積物から採掘される塩で、数百万年前の海水が蒸発して形成されたものです。
岩塩には塩化ナトリウムと共に、微量元素も豊富に含んでおり、金魚の塩浴に理想的な条件を作ることができます。
アクアリウム用塩浴剤は、金魚の健康と安全を考慮して科学的に配合されており、特定のミネラルがバランス良く含まれていますので、金魚のストレスを軽減し、病気からの回復を促進することができます。
ここに挙げた塩であれば、どのタイプの塩でもおすすめですが、
どの塩を選べば良いのかわからない場合には、金魚の塩浴用としてアクアリウムメーカーなどが販売しているものを選ぶのが一番正しい選択と言えます。
金魚の塩浴(塩水浴)の計算方法とは?
金魚の塩浴の濃度に対しては、昔から行われてきた治療法だけあって様々な説があります。
その中でも一般的には0.3%〜0.5%くらいの濃度で行う方法が広く広まっています。
0.5%の塩水と言われてもピンとこない方も多いかもしれませんが、0.5%塩水とは1リットルの水に対して塩が5gになります。
水1リットル=1kg=1000gです。
1%は100分の1ですので、0.1%は1000分の1、0.5%は1000分の5となります。
- よって0.5%の塩水を作る際には、塩浴に使用する水の量を200で割った数値が塩の量となります。
- 0.3%の塩水を作る際には、塩浴に使用する水の量を333で割った数値が塩の量となります。
一般的に普及している60cm水槽ですと水槽の水量が65リットルくらいになるので塩の量は325gとなります。
実際に塩水を作ってみると想像以上に塩の量が多い事に驚かされるかもしれません。
60cm水槽以外にも市販されている規格水槽での塩の量も計算してみましょう。
45×30×30cm規格水槽で0.5%の塩水を作る場合には、水量は約40.5リットルですので塩の量は202.5gです。
90×45×45cm規格水槽では水量は約182リットルになりますので塩の量は920gとなります。
金魚の塩浴の濃度を間違えるとどうなる?
金魚の病気予防や初期治療において塩水浴治療が効果的であることは実証されていますが、その理由とメカニズムについても触れておきましょう。
まず地球上に生存するほとんどの生き物は海水の成分に近い体液組成となっており人や金魚も例外ではありません。
この体液組成のバランス、コントロールが順調に行われていることが健康である為の条件でもあるのです。
逆に言うとこの体液バランスとその調節機能が弱ると体に変調をきたしたり、病気になりやすいということになります。
医療機関では病気に打ち勝つために生理食塩水の点滴が用いられていますが、これも体液の組成バランスを保つ為なのです。
そのような理由から体液濃度に近い塩水投与は病気予防や初期治療に対して大変効果的なことはご理解頂けると思いますが、人の場合には点滴、金魚の場合には清潔な塩水浴となるのです。
金魚の体液濃度は0.7%~0.8%と言われており、真水で飼育している場合には、体液のナトリウムイオンとカリウムイオンのバランスを調整して正常な状態を保っています。
このように体液組成の維持には、ナトリウムイオンとカリウムイオンが必須な為、塩水浴に使用する塩は塩化ナトリウムがほとんどの精製塩では効果が期待できませんので天然塩、もしくはそれに準じたものを使用するようにしましょう。
また、金魚の体液濃度に適した塩浴の濃度を保つことで浸透圧も正常に機能し、塩浴のメリットだけをうまく取り入れることができるのです。
逆に塩浴の濃度計算を行わずに金魚の塩浴をおこなってしまうと、様々な問題が起こってしまうことはご理解いただけたと思います。
正しい塩水濃度管理を行い、正しい方法で塩浴を行うことが金魚を元気にするコツとも言えます。
金魚の塩浴のやり方と注意点
塩水浴は塩の浸透圧効果を利用した治療法であり、金魚の病気治療に効果を発揮します。
その反面、有益なバクテリアや水草などにも影響を与えてしまいますので、塩水浴を行う際には本水槽に直接塩を投入するのではなく、バケツや予備水槽で行うようにしましょう。
塩浴(塩水浴)のやり方としては塩浴用の水槽を用意して塩水を作ります。
その際、水槽には底床や水草などレイアウト素材となるものは、いっさい入れずにベアタンク方式で行うのが一般的とされています。
ヒーターとエアーポンプは設置しておくことで塩水浴治療の環境を良好に保つことができます。
設備が用意できたら塩浴に最適な塩分濃度の塩水を作り、金魚を投入します。
塩浴は長期的に行うものですので、短期間で水質が悪化してしまうような環境は避けるようにしましょう。
- 水質が悪化しやすい環境とは水量の少ない小さな容器で塩浴を行う。
- 一度にたくさんの金魚を入れて過密飼育で塩浴を行う。
- 早く元気になってもらおうと餌をたくさん与えてしまう。
このような飼育環境は水質が悪化しやすいため、金魚の塩浴には不向きな環境となります。
金魚の塩浴は、私たち人間の治療と同じように、静かで落ち着いた場所でゆっくりと治療に専念できる環境を維持してあげることが大切です。
金魚の塩浴の塩と濃度計算まとめ
- 金魚の塩浴に最適な塩とは細かい粒状のもの、精製塩ではない、ヨウ素が入っていないなどの条件を満たしている塩。
- どの塩を選べば良いかわからない場合には、金魚の塩浴用としてアクアリウムメーカーなどが販売しているものを選ぶのが一番正しい選択と言える。
- 0.5%の塩水を作る際には、塩浴に使用する水の量を200で割った数値、0.3%の塩水を作る際には塩浴に使用する水の量を333で割った数値が塩の量となる。
- 金魚の体液濃度に適した塩浴の濃度を保つことで浸透圧も正常に機能し、塩浴のメリットだけをうまく取り入れることができる。
今回は金魚の塩浴の塩に関する疑問についてご紹介しました。皆様の金魚の塩浴の参考にしていただけると幸いです。