らんちゅうの転覆病とは?浮き気味の個体を救うための食事制限とは?

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らんちゅうの転覆病とは?浮き気味の個体を救うための食事制限とは?

らんちゅうを長年飼育しているとある日突然、体が水面に浮き上がったまま潜れなくなる個体が現れることがあります。

あるいは逆に底から浮き上がれなくなってしまう個体が出てくることも珍しくありません。

これが「転覆病」と呼ばれる症状で、金魚が自分の浮力と平衡感覚をコントロールできなくなる病気です。

らんちゅうをはじめとする丸みのある体型の金魚に特に多く見られ、飼育者を長期にわたって悩ませる厄介な病気のひとつです。

転覆病とはどんな病気か

転覆病は金魚が自分の浮力と平衡感覚をコントロールできなくなる病気で、名前の通り転覆するような行動を見せることから「転覆病」と呼ばれます。

転覆病は他の個体にも感染しませんし、すぐに死んでしまうこともありませんが、治療薬があるわけでなく地道な改善が必要なため、治療が難しい病気の一つです。

症状には大きく分けて二種類あります。

よく知られているのは水面に浮いてしまうタイプで、ひどい状態だと病名のとおりお腹を水面に向けてさかさまに転覆した状態になります。

浮いているのが常態化すると水面から外に出た部分が空気に触れて乾き、ただれてしまいます。

ただれたところから菌が入り、らんちゅうが死んでしまうこともあります。

もうひとつは沈むタイプで、水中で浮くことができなくなります。

こちらは進行した状態であることが多く、浮く症状から沈む症状へ変わると重症で完治するのは難しくなります。

なぜらんちゅうがかかりやすいのか

転覆病はどんな金魚にも起こる可能性がありますが、特に転覆病が起きやすいのは体型が丸く改良された品種の金魚です。

らんちゅう、出目金、琉金、オランダ獅子頭など、同じ品種の中でも特に丸い体型をした個体ほどリスクが高くなります。

らんちゅうは品種改良を重ねた結果、本来の魚が持つ流線型とは大きくかけ離れた体型になっています。

そのため内臓の配置が窮屈になりやすく、消化器官への負荷がかかりやすい構造になっています。

最近の研究によると脊椎の変形による中枢神経の異常が原因になっているとも言われており、自然な脊椎の変形だろうが品種改良による変形だろうが、転覆病になるリスクは同じくあるということだと考えられます。

先天性と後天性の違い

転覆病には生まれつきのものと飼育環境や食事の影響で発症するものがあります。

先天性は浮袋の機能が未発達で、沈むことが多いです。

後天性は消化不良をこじらせると罹りやすく、浮くことが多いです。

先天性の場合、発症してしまうと治すことはほぼ不可能と言われていますが、後天性の転覆病なら、消化の良い餌を与えるなどの治療を行えば軽快できることがあります。

つまり、飼育者が働きかけて改善できる可能性があるのは後天性に限られます。

浮き気味になりはじめた段階で後天性かどうかを見極め、早めに対処することが回復への大きなカギになります。

転覆病の原因

後天性の転覆病の原因として最も多いのが消化不良です。

消化不良を起こすとらんちゅうの身体の中にガスが溜まり、そのガスによって身体のバランスが取れなくなって転覆病を発症すると言われています。

水温や餌の質によっては消化に負担がかかって転覆を起こしやすくなります。

消化不良を起こすと腸内でガスが溜まったり、フン詰まりを起こして腸内の問題による転覆病を誘発します。

水温は金魚の消化力に直結するので、金魚が餌を欲しがっても水温が低い場合は餌をセーブすることが必要です。

また餌の質によっても消化が違ってきます。

高タンパクの餌・色揚げ用の餌・硬い餌・吸水時に膨張が目立つ餌などは、注意が必要です。

根源は飼育環境における金魚のストレスを改善することです。

水質悪化・掃除不足・底床やフィルターの汚れ・過密飼育などもストレスの原因になるため、極力快適な飼育環境を作ってあげましょう。

転覆病を発症しやすい季節

転覆病が起きやすい季節としては、水温が低下する寒い季節です。

冬はもちろんですが、秋や春先も水温が冷え込むことが多いので注意が必要です。

特に春先は昼間に水温が上がって食欲が戻ったらんちゅうが活発に食べるようになる一方、夜間の冷え込みで消化が追いつかず、翌朝に浮き気味になっているというパターンがよく起こります。

初期症状ではふらふら泳いだり、止まった状態でふわっと浮いてしまったりします。

こうした変化を日々の観察の中で早期に気づけるかどうかが、その後の経過を大きく左右します。

浮き気味の個体への食事制限

転覆の初期症状が現れたとき、あるいは普段から餌を食べた後に浮き気味になる個体が現れたとき、まず行うべき対処が食事制限です。

転覆症状が続く場合は2〜3日絶食させてフンを出し切らせるのも有効です。

絶食は消化不良の治療法として基本的なもので、期間は金魚の大きさや様子によってコントロールする必要がありますが、目安としては3〜5日間ほどで様子を見ると良いでしょう。

小さい金魚や体力の低下が見られる場合は短めにし、比較的元気なようなら長めにしても大丈夫です。

健康な金魚であれば2週間程度は給餌をしなくても生きていられます。

ただし、幼魚や体格の小さい個体への長期絶食はかえって体力を落とす危険があるため、個体の状態をよく観察しながら判断することが大切です。

餌の量を段階的に減らすアプローチ

慢性的に餌を食べると浮き気味になる個体に対しては、完全な絶食ではなく、段階的に給餌量を絞る方法も有効です。

最初に中途半端に普段の半分とか4分の1とか与えると与えすぎていてもそのことに気づかないので、上手く治療できないまま金魚が転覆してしまうという流れになりやすいです。

まずは少なすぎるくらいの10分の1にしてスタートするということです。

餌を与えなければ問題が出ないので絶食すればよいのですが、それではせいぜい1週間から10日が限界です。

でもそんな短期間に内臓の問題は完治しません。

つまり絶食では長期戦に持ち込めませんので、餓死しない程度の最小限の餌で維持しながら金魚が自力で回復できるチャンスまで維持していくという考え方が必要です。

この「ごく少量を長期的に与え続ける」アプローチは、完全絶食よりも根気が要りますが、慢性化した症状に対しては現実的かつ効果的な手段です。

絶食後の餌の再開

絶食でいったん症状が落ち着いてもすぐに元の量に戻してしまうと再発することがほとんどです。

絶食後はすぐにいつもの餌の量に戻すのではなく、1粒から始めて徐々に増やすと消化機能を調整しやすいです。

フンを観察しつつ、調子がよさそうなら餌を増やしていきましょう。

数日間の絶食を経たのちに少量の餌を与え、その後再び数日間絶食させて様子を見ます。

この工程を消化不良が改善するまで繰り返してください。

餌の種類と与え方の見直し

食事制限と並行して、餌そのものを消化の良いものに切り替えることも重要です。

浮上性の餌を食べるときに一緒に空気を飲み込んでしまう場合があるとも言われています。

基本的には沈下性の餌をおすすめします。

消化不良の改善が転覆病の治療につながるケースは多く、餌を与えすぎない・消化の良い整腸作用のある菌が添加された餌・植物性の餌を与えることで症状が改善されます。

色揚げ成分を含まない消化の良い餌を与えることが回復後の大切な課題のひとつです。

また古い餌を使用することも腸に負担をかけますので、古い餌、高温多湿の場所に放置した餌などの使用は控えてください。

冷蔵庫で保管した餌は外に出したときに湿気が付きます。あらかじめ小分けして、残した分だけ冷蔵庫で長期保存してください。

水温と絶食の関係

食事制限の効果を高めるためには、水温管理も欠かせません。

水温23〜25度程度に設定するとフンが出やすくなります。

18度以上なら十分に餌を消化できますが、もっとも活性が上がるのは25度付近です。

消化不良が長引いている・転覆気味の場合は保温が望ましいです。

水温が低いままいくら絶食しても腸の動きが鈍いため、ガスが抜けにくく症状の改善が遅くなります。

ヒーターを使って適温を保つことは、食事制限と組み合わせることで相乗的な効果をもたらします。

フンで消化不良を見極める

食事制限を行う際、どの程度まで回復しているかを判断する手がかりになるのがフンの状態です。

らんちゅうが消化不良を起こしているかどうかを把握するには、らんちゅうのフンを確認するのが一番わかりやすいです。

健康ならんちゅうは長いフンをしますが、消化不良を起こすとフンが細切れになります。

フンが正常な長さに戻り、沈むようになってきたら、消化機能の回復が進んでいると判断できます。

その段階を見極めながら、少量ずつ餌の量を増やしていくのが現実的なやり方です。

転覆病の治療の限界と向き合う

どれほど丁寧に食事制限を行っても回復に至らないケースがあることも知っておく必要があります。

転覆病の原因を突き止めることは非常に困難で、体内のことは外からは見えません。

転覆病は一つの原因でかかる病気ではないため、完全にひっくり返ってしまってから完治させることは難しく、飼い主が「ちょっと泳ぎ方がおかしいな」と思ったときに対処することが重要です。

転覆病はとにかく予防と早期発見がすべてだといっても過言ではありません。

日頃から水質と餌のコントロールを丁寧に行い、個体ごとの食欲や泳ぎ方の変化を観察し続けることが、らんちゅうを長く健康に飼育するための最大の備えになります。

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