
金魚の尾びれや体に白い斑点が見られる。
白点病の原因はなに?予防方法は?
金魚の白点病の治療方法を知りたい。
金魚の白点病の薬にはどのようなものがあるのか?
こんな金魚の白点病の症状や治療方法についてご紹介いたします。
目次
金魚の体に白い点 白点病
金魚の体やヒレに白いポツポツとした点が見られたら白点病の疑いがあります。
白点病は金魚の風邪と言われるほど油断するとかかりやすい病気です。
水質の悪化と病原虫との因果関係が主な原因とされていますので予防策としてはこまめな水換えにより常に綺麗な水を保つようにしましょう。
白点病は金魚だけの病気では無く水槽で飼育される多くの観賞魚にも発症する病気です。
海水魚に発症する白点病とは症状は類似していますが、病原虫も対処方法も違うので区別するために金魚などの淡水で飼育される魚に発症する白点病はイクチオフチリウス症と呼ばれる場合もあります。
白点病の症状
白点病の初期には体やヒレに白いポツポツとした点が現れます。
この状態を放置してしまうと急速に症状は進行してしまい、体全体が白い粘膜に覆われたようになり金魚は衰弱して死んでしまいます。
白いポツポツとした点が見られるのが初期症状と書きましたが、これは飼育者が白点病と認識できる初期状態のことで実はそれより以前にも白点病には症状が現れ始めます。
白点病の原因となる寄生虫ウオノカイセンチュウに寄生された金魚は痒がるように石や底砂などに体を擦り付けたり、小刻みに震えるような動作を繰り返しますのでその様な動作が見られた時は感染している可能性が高いと言えます。
白点病の原因と予防
白点病の原因となるウオノカイセンチュウの発生メカニズムは未だ不明な点が多いのですが、自然界と違い閉鎖的な環境にある水槽などでは外部から持ち込まれたものが増殖するとされています。
ウオノカイセンチュウは25℃以下の低水温を好むため、ヒーターを使用し、25℃以上に保たれた熱帯魚水槽などではあまり発症しない傾向にあります。
またウオノカイセンチュウは水槽や金魚鉢以外にも屋外の池やスイレン鉢など、どの環境においても存在しますが、そこにいる金魚が必ずしも白点病にかかるわけではありません。
水槽などの閉鎖的な環境下では魚体に集中的に感染することで魚が衰弱あるいは機能障害をきたすため問題となることが多く、広い池や自然界においては集中的に寄生することがほとんどないためウオノカイセンチュウの寄生自体が問題を引き起こすケースは稀なのです。
従って魚の密度が高いほど、また小型の水槽ほど感染のリスクが高くなると言えます。
今一度飼育環境を見直してみて過密飼育になっているようでしたら大きめの水槽を検討したり、水槽の数を増やして過密飼育を避けるようにしてください。
また金魚を水槽に投入した直後や水温や水質の急激な変化に起因するストレスによって体表の粘膜が荒れているときは特に感染しやすい傾向にありますのでその様な状態にならないように管理することで白点病を予防することもできます。
金魚の粘膜保護剤を日頃から利用することで金魚の抵抗力を高め、病気になりにくい金魚に育てることができます。
白点病の自然治癒
白点病は自然治癒する病気なのか?白点病にかかってしまった金魚は今の環境のまま見守ってあげれば治ることもあるのか?
その疑問に対しては、ほぼ「NO」という答えでしょう。
今ある環境で白点病にかかってしまったということは、今の環境が白点病にとって都合の良い環境ということになります。
その環境をまずは改善しなければ白点病は治ることもないはずです。
水換えの回数を増やし、水質の維持に努めながら適度な水温を保ち、時には塩浴を試みるなどの対策により初期症状の白点病であれば回復は見込めるはずです。
それでも改善が見られない時にはやはり自然治癒を願うよりも薬浴などでしっかり治療してあげることが大切です。
白点病の治療 薬浴
白点病の治療には殺菌効果のある薬品の投与が効果的でメチレンブルーやマラカイトグリーンなどが知られています。
使用方法としては重症の金魚や死んでしまった金魚を水槽から取り除き底砂をしっかり洗うように水換えを行います。
その後上記薬品を規定量投与し経過を観察しながらこの作業を4、5日間隔で繰り返します。
また薬品の投与以外にも0.5パーセント塩浴やヒーターによる水温の上昇なども効果が見込めます。
先にも書きましたが、白点病の原因となるウオノカイセンチュウは25℃以下の低水温を好むため、ヒーターを使用し28℃位の水温を保つことでウオノカイセンチュウの活動を鈍らせるのが目的です。
更に水温の上昇は金魚の活性を高める効果も期待できるので病気への抵抗力をつける効果も見込めます。
白点病の治療 塩浴
金魚に限らず、昔から魚が病気になると塩を使った塩浴が効果的ということが言われています。
確かに塩浴は魚の病気に対して効果的ですが、その仕組みややり方を理解せずに塩浴を行っている人も多いようです。
「塩が病気を殺菌してくれる」、「沢山入れれば早く病気が治る」このような考え方は間違いです。
塩に殺菌効果はありません。
ではなぜ塩を使った塩浴が魚の病気に効果的なのか、そのメカニズムについて触れていきます。
微量の塩分は生物の体調を整える効果があり、逆に人は塩無くして生きてはいけないとまで言われています。
その塩分濃度は生物により多少の違いがあり、浸透圧によってバランスが保たれています。
生物により適正とされる塩分濃度に違いがあり、人は血液・組織液と浸透圧の等しい約0.9%の食塩水が望ましく、水分欠乏時の点滴などで用いられます。
金魚などでは0.5%程度の塩水が望ましいとされています。
逆にこの数値よりも濃度の濃い塩水は浸透圧の関係で脱水効果が現れます。
ナメクジなどに塩をかけると水分を奪われ溶けるようになってしまうのと同じで強い塩水は生物の脱水作用を促します。
この仕組みを利用して濃いめの塩水で短時間治療により寄生虫を退治する方法もありますが、金魚に対しても大きな負担となるのは間違いありません。
また、濃度や塩浴時間・タイミングなどを間違えると効果があまり期待できないうえに金魚には負担をかけてしまうという問題もあります。
よって高濃度の塩浴はあまりお勧めできません。
塩浴は適正濃度を保ち、金魚の体調を整えるために行うものと覚えておきましょう。
白点病の症状にもよりますが、初期であれば高水温の維持と塩浴で回復することも多々あります。
よってなんだか様子がおかしいなぁと感じたら予防の意味も含めて水温維持と塩浴を行なってみるのも良い方法かもしれません。
ただ、塩浴は水草に影響を与えますので、水草が入れてある水槽では行わず、隔離水槽を用意して行うようにしましょう。
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白点病の治療に鷹の爪
白点病の治療には鷹の爪が効果的という話はよく聞く話で、鷹の爪を入れたことにより白点病が治ったという事例はネット上でも沢山取り上げられています。
また、生体や水草にも害がないという報告も多数上がっています。
確かにお米の保存にも鷹の爪を数本入れることにより虫を避ける効果があります。
科学的なメカニズムは解明されていないようですが、先人の知恵というものはあながち間違ったものではないと言えるでしょう。
鷹の爪を使った白点病治療の方法は水10リットルに対して鷹の爪1本、60cm水槽なら5、6本が適量とされています。
さらにそのまま入れるよりも刻んでネットなどに入れた方が効果があるという説もあります。
白点病におすすめの治療薬
マラカイトグリーン
マラカイトグリーンは観賞魚の病気の中でよく見られる白点病、尾ぐされ症状、水カビ病に対して効果があります。
これら病気は、進行が早く早めの治療が効果的ですので早期発見、早期治療を心がけてください。
本製品は飼育水100Lに対して本品10mLを添加します。
よって60cm水槽ですと水量60Lに対して6mL、90cm水槽ですと水量160Lに対して16mLとなります。
メチレンブルー
メチレンブルーもマラカイトグリーンと同等の扱いができる製品で白点病に効果があります。
ただマラカイトグリーンが水草に対しても使用できることに対して、こちらのメチレンブルーは水草に対して使用は避けたほうがいいでしょう。
よって水草を入れていない水槽であればメチレンブルーでも白点病治療が行えます。
グリーンFクリアー
グリーンFクリアーは飼育水を着色しない白点病治療薬です。
本剤を飼育水の中に直接投薬し、病魚を薬浴させてください。
本剤100mLを飼育水200Lの中に加えた後、良く混和し病魚を7日間薬浴させます。
水槽における本剤の使用例 幅X奥行X高さ(mm)/水量/投薬量/添付カップ
450X240X300/30L/15ml/1杯半
600X300X360/60L/30ml/3杯
750X400X450/120L/60ml/6杯
900X450X450/160L/80ml/8杯
どの治療薬もたくさん入れれば良いというものではありませんので用法・用量をしっかり守り、自己責任のうえ使用することをお勧めします。
金魚の体に白い点 白点病の治療まとめ
- 白点病は水質の悪化と病原虫との因果関係が主な原因
- こまめな水換えにより常に綺麗な水を保つことが白点病の予防になる
- ウオノカイセンチュウは25℃以下の低水温を好むためヒーターを使用することで白点病の予防になる
- 白点病は魚の密度が高いほど、また小型の水槽ほど感染のリスクが高い
- 白点病の治療には殺菌効果のある薬品の投与が効果的
今回は金魚の白点病についてご紹介しました。皆様の金魚飼育の参考にしていただけると幸いです。