
らんちゅうの稚魚にブラインシュリンプはいつまで与え続けるべきか、これは多くの飼育者が頭を悩ませる問題です。
答えは一概に「何日間」と断言できるものではなく、稚魚の成長度合いや飼育環境、さらには飼育者の目標によっても変わってきます。
稚魚の泳ぎ出しからブラインシュリンプ給餌がはじまる
孵化したらんちゅうの仔魚は、最初のうちは卵黄嚢(ヨークサック)の栄養を消費しながら過ごし、自力で泳ぎはじめるようになってはじめて外部からの餌を必要とします。
この「立ち上がり」のタイミングが、ブラインシュリンプ給餌の開始点です。
孵化して立ち上がってからブラインシュリンプを与えはじめるのが基本とされており、この時期の稚魚の口サイズにちょうど合った餌として、孵化直後のブラインシュリンプの幼生は非常に理にかなった選択です。
ブラインシュリンプを稚魚に与えると成長スピードが格段に上がり、餓死の危険がある時期を短縮することができます。
孵化したばかりの仔魚は消化器官も未発達で、動かない人工飼料を餌として認識すること自体が難しく、自ら動き回るブラインシュリンプの幼生は本能的な捕食行動を引き出してくれます。
この時期に十分な栄養を供給できるかどうかが、その後の体型や骨格の形成を大きく左右するため、ブラインシュリンプの役割は単なる「最初の餌」以上のものがあります。
体長2cmが一つの目安
では、いつまで与え続けるかという問いに対し、経験豊富な愛好家たちが共通して示す目安が体長による判断です。
稚魚が成長してブラインシュリンプの給餌を終えてミジンコ給餌だけになるとき、稚魚の全長は2cmぐらいになるというのが、実践的な現場での基準として語られています。
体長が2cmほどになると口の大きさも変わり、ミジンコをはじめとするやや大きめの餌を自然に食べられるようになります。
孵化後30日程で鱗も生えるため、稚魚の形も定まってくる時期がこれにあたります。
体長と日齢はおおむね連動しており、水温や給餌量が適切であれば、孵化後おおよそ3〜4週間でこの体長に達することが多いです。
ただしこれはあくまでも目安であり、飼育水温が低い場合や個体差によってはもう少し日数がかかることもあります。
切り替えのタイミングは日齢より「サイズ」で判断する
らんちゅうの稚魚飼育で重要なのは、「孵化後何日」という固定した期間で区切るのではなく、目の前の稚魚の状態を見ながら判断することです。
青子程度の大きさになるぐらいが目安で、普通の餌が食べられるぐらいになったら切り替えるとよいというのは、金魚飼育の現場でよく使われる表現です。
体が黒みを帯びた青子の段階では、ブラインシュリンプが主力餌として活躍し、色変わりが進み体がしっかりしてきたら次の餌へと移行していく流れが自然です。
また、稚魚の場合には特にリン脂質が不足すると生育阻害を起こすことが知られており、不飽和脂肪酸も重要です。
ブラインシュリンプはこうした栄養素を豊富に含んでいるため、できるだけ長く継続することが稚魚の骨格形成や内臓の健全な発達につながります。
ただし配合飼料はブラインシュリンプやミジンコと比較すると動きがないので嗜好性が低いため、切り替えを急ぎすぎると食い込みが落ちて成長が鈍ることがあります。
生餌と配合飼料を並行して与えることで、稚魚を人工飼料に徐々に慣らしていくのが賢明です。
ブラインシュリンプ終了後の注意点
ブラインシュリンプの給餌を終えてミジンコ給餌だけになる頃、水換えをしないで飼育し続けるとエラ病にかかりやすく、伝染性が強いため一つの池が発症するとあっという間に他の全ての池でエラ病が発生することが知られています。
これはブラインシュリンプの給餌期間中は大量の有機物が水中に蓄積されており、餌の切り替えに伴う水質の変化が免疫の低下した稚魚に影響を与えるためと考えられています。
ブラインシュリンプをやめるタイミングと同時に、水管理の見直しも必要です。
飼育スタイルと目標によって考え方が変わる
生餌といえば、幼少期に使うブラインシュリンプを指すというのがらんちゅう飼育における一般的な認識であり、多くの愛好家がブラインシュリンプを「初期飼育専用の特別な餌」と位置づけています。
しかし品評会への出品や大型化を強く意識した飼育では、できる限りブラインシュリンプを長く続けることが体型の仕上がりに影響すると考える飼育者もいます。
一方で、毎日沸かす手間や衛生管理の難しさを考えると多少ブラインより成長度合いが鈍るが、サイズが出来てくれば成長力は変わらないという見方もあり、人工飼料との組み合わせで対応する方法も現実的です。
要はブラインシュリンプをいつまで与えるかという問いは、飼育の目標と日々の管理能力のバランスの中で答えを出すものだといえます。
稚魚の体長が2cmに達するまでの間は、できる限りブラインシュリンプを主力に据えて、消化器官と骨格の基礎をしっかり作ることが、その後の健康な成長につながります。